Tech Fielderで思ったのですが、LinuxがOS市場で台頭するのは現状ではきつい。いまや、ほとんどの企業でIT化がすすみ、社員は会社の方針にそってパソコンを使用するため、自動的に家のパソコンも会社と同じになる。
で、その会社の方は会社の基幹エンジンと連携を重視したい。なにせ、ITを企業力に変えるには、各社員の動きを統制し、情報を管理、そしてそれを利用して新たなステップに進む必要がある。つまり、パソコンの情報を確実に基幹エンジンに吸い上げ、確実に社内のパソコンをコントロールする必要がある。
そうなると、Linuxの弱みが出てくる。いや、GNU/Linuxと言うべきだろう。各ソフトウェアの開発元がバラバラ。各開発者は自分のソフトウェアの開発に忙しく、間を取り持つものがない。よりハイレベルな連携が困難となってしまう。
現に、Linuxマシンをサーバーから一括で統制する技術が確立していない。
しかし、Windowsを見るとMicrosoftがサーバーOS、クライアントOS、サーバーソフトをすべて手掛けており、さすが同じ社内で作られただけあり、連携が完璧だ。個々の性能がイマイチであれ、連携が強ければ企業としては十分なのだ。
しかし、Linuxは性能はピカイチだが、連携に関してはあまりいいとは言えない。ソフトウェアごとに使用方法はもちろん、開発思想も違うため、連携させるためには高度な技術が必要ですし、技術が高度なので引き継ぎが大変。この辺が厳しく、企業の基幹エンジン、ディレクトリサービスのActive Directoryの利用率は98%、つまりディレクトリサービスを導入している企業の98%がActive Directoryを採用している。
そう、WindowsがクライアントOSでのシェアがとても大きいのはこの企業の基幹エンジンでのWindowsの利用率に支えられているのだ。裏を返せば、Active DirectoryからLinux界のディレクトリサービス(OpenLDAPかもしれないしそうでないかもしれない)とそれと連携する新たなソフトウェアパッケージがシェアを奪いとることができたらLinuxが世界標準のOSになることができる。
私もそうだったのだが、Linuxerとして、Microsoftを嫌っており、あまり興味の対象にしなかった時期があった。しかし、それは敵を見ずして敵を倒そうとするもの。今回、Tech Fielderに参加して、なぜ、Windowsが、これだけのシェアを占めているのか?そして、なぜ、MicrosoftのOfficeやIEの利用率が未だに高いのか?LinuxやOSSの世界を見ると、単に無料というところを押して、IT化によるソフトウェア間の連携が甘いのではないかと思う。
例えば、OpenOffice.orgもサーバー側のソフトを開発し、LDAPと連携した文書管理システムを作るべきではないのか?
例えば、Firefoxはシングルサインオンを実現するために、LinuxでのサーバーでのLDAPと連携したアクセス制御用サーバーをLinuxコミュニティやApacheコミュニティと協力して開発し、よりスムーズなログイン環境を提供できるようにするべきなのではないか?
Linuxを中心とする、オープンソースの世界には様々ないいアイデアや素晴らしい技術がたくさんある。しかし、それが今、単にたくさんあるだけになってしまってないか?バラバラの国、バラバラの開発者、バラバラのプロジェクトをまとめて連携させるのはとても難しい。でも、不可能ではないのではないか?
これまでクライアントOSしか見ずにWindowsに対抗しようとしていたとしたらそれは大きな間違いである。そのシェアの裏に基幹エンジンとしてのあり得ない独占的なシェアがあってのクライアントOSのシェアなのである。
私は今後も灘校パソコン研究部員として、高校生IT技術者として、そしてLinuxerとして今後もMicrosoftに限らず、様々なセミナーに参加していきたいと思う。
敵を倒すにはまず敵を知れ!
そして、真の対抗馬ができればMicrosoftもより安く、そしてより良い製品を本気で作ってくるだろう。まだまだITには発展の余地がある。
これからのIT世界をよりよくするためにも、2つの物が真のライバルとして切磋琢磨することはとても重要である。